2025年10月2日木曜日

【書籍】 田中輝美『関係人口の時代 「観光以上、定住未満」で地域とつながる』 中公新書 2025.8

 筆者は、大学卒業後、ローカル新聞社に入社。その後、大学院博士課程を終了し、現在、島根県立大学准教授。

(関連主著)

関係人口をつくる 2017年 事例中心
関係人口の社会学 2021年 博士論文をもとにした学術書

(内容)

p.9 関係人口とは交流人口と定住人口の中間
交流人口:短期的に訪問する
関係人口:継続的に関心を持ち、関与するうよそ者
定住人口:長期的に居住する
ここで、関係人口は、現地を訪問することを意味しないことに留意。
筆者は期間の長短で区分しているようである。

p.201 関係人口が人口減少社会の希望になりうると考えている。

関係人口は、地域間で人材を共有(シェア)していると考えることができる。関係人口と地域の協働で課題が解決し、主体も増える好循環が生まれる可能性を繰り返し述べてきた。

(感想・コメント)

この手のはやりものの研究では、継続的研究が望まれる。事例中心主義の問題点は、中長期にわたる定点観測がなされていない場合があるということだ。筆者は多くの事例をあげているが、これらをすべて10年、20年、30年、50年(さらにはそれ以上)にわたって地域がどう変化してきたのか、時代の証言者になる覚悟が必要だと思う。

筆者は島根県出身で島根県在住らしいので、少なくとも島根県の事例については継続して研究されると思うし、場合によっては、主体的に地元への働きかけも行えるので、この先が楽しみではある。

実際、私が本当に読みたいのは、筆者が主体的にかかわった事例とその定点観測である。

同時に、読者たる我々も筆者の定点観測が必要だということだ。(知識を得るために読書するのだが、気になる著者(研究者)の定点観測もいいと思う。これは筆者が本物かどうか見極めたいということでもある。)


2025年7月18日金曜日

【書籍】 スティーヴン・D・キング 『僕たちはまだ、インフレのことを何も知らない』 デフレしか経験していない人のための物価上昇2000年史 ダイヤモンド社 2024.3

 (所在) 8FN337.9キ 市立337キ

○インフレとはお金の価値が失われていくこと
○インフレ下での資産防衛
・1つの通貨圏に投資しない
・株式はいつもインフレに強いわけではない
・一定量の金を保有
・現金・預金の利益率はマイナス
・実質利回りがマイナスならば、資金を借り入れて不動産を購入し、設けるチャンスがないかじっくり考えること
・ユーロの中心でインフレ発端の政治的混乱の兆しがあれば、北ヨーロッパの債券市場が高利回りの準通貨へと大化けするだろう。

【書籍】 正木郁太郎 『感謝と称賛 人と組織をつなぐ関係性の科学』 東京大学出版会 2024.6

 (所在)県立 市立336マ

職場での感謝と称賛が重要とする研究。バーナードが強調する組織の3要素にコミュニケーションがあるが、感謝と称賛は企業の実務で注目されているポジティブなコミュニケーション。

(感想)つながりはコミュニケーションより広い概念だと思うが、コミュニケーションはつながり(関係性)においてどの程度の役割を果たすのか?

2025年7月17日木曜日

【書籍】 工藤律子 『働くことの小さな革命 ルポ日本の「社会的連帯経済」』 集英社新書 2025.2

 (所在) 県立 7FS335.6ク 市立335ク

p.14 社会的連帯経済(Social and Solidarity Economy)とは、企業間の競争による利潤の追求とそれを基盤とする経済成長よりも、社会的利益のために連帯して、人と(地球)環境を軸にした経済を指す。協同組合やNPO、共済組合、財団、フェアトレード、社会的企業、有機農業、地域通貨のような「補完通貨」の運営などに携わる者が、その担い手だ。

(感想)経済というからには、商品とかサービスのやり取りに重きを置いていると思う。その際に、目的を重要視し、貨幣とか地域通貨を用いてやりとりするということなのだろう。祭りのような連携・つながりはどうなのか?同じ枠組みから見ることは可能なのか。

2025年7月7日月曜日

【書籍】 渡邉雅子 『論理的思考とは何か』 岩波新書 2024.10

 (所在)県立 7FS372ワ 大学2036 公立

理系なので科学的論文の構成法には慣れているが、社会科学でも同様の構成とすることに対し、強い違和感を覚えていたが、論理的展開は文化であることを知り、腑に落ちた。予想される論理展開のパターンでないと、論理的に受け止められないという。フランスの論文では弁証法で書くとのことで、弁証法自身はいい思い出がないが、直線的でない論理構成には腑に落ちるものがある。

2025年7月6日日曜日

【書籍】 (株)OJTソリューションズ原著 亀山聡著 『まんがでわかるトヨタの片づけ』 KADOKAWA 2016.11

 (所在)市立

資料 1いま使うもの 2いつか使うもの 3いつまでたっても使わないもの
資料 日付順に 進行中 1週間保管、1ヶ月保管、3ヶ月保管、6ヶ月保管
パソコンのフォルダ 2,3階層もたどればファイルにたどり着くように
メールのフォルダ 削除、一時保管(2ヶ月など)、業務別(半永久的に保管)、受信(すぐに対応できない)

2025年7月4日金曜日

【書籍】 西村栄基 『ドイツ人のすごい働き方 日本の3倍休んで成果は1.5倍の秘密』 西村栄基 すばる舎 2024.9

 (所在)7F336ニ 市立336ニ

・ドイツ流片付け
・・ホームポジションの原則 使ったら戻す
・・スリムアップの原則 定期的に見直し、最低限を持つ
・・アップデートの原則 モノを勝ったら、同じ種類・用途のモノを手放す
見える化 時系列、相関関係
業務のストック化(自動化)
・・考える
・・業務の流れを文書化
・・業務を定型業務と非定型業務に分類
・・非定型業務をマニュアル化
・・定型業務を自動化あるいは人に任せる
自分をブランド化
メモ 帰宅前メモ(青色で手書き)+資料・ツールを準備
   出社直後に、タスクの所要時間を見積もり、重要度と緊急度を考慮して、スケジュールに組み込む

【書籍】 伊与原新 『宙わたる教室』 文藝春秋 2023

 (所在)県立 7Fイヨ 市立イヨ

アマゾンのPrime Videoで見たのだが、NHK on demandでも見れるらしい。専門的知識を背景にしてたり、おそらく事実かなと思っていたが、小説を手にとってみたら、そのとおりだった。
映像で見た方が迫力がわかると思う。

2025年7月2日水曜日

【書籍】 川上昌直 『「つながり」の創りかた』 新時代の収益化戦略 リカーリングモデル 東洋経済新報社 2019.6

 (所在)県立

著者は経営学者。本書の主張は、ユーザーとの関係性である「つながり」なしには、収益性のあるサブスクリプション(月額定額制ビジネス)は成立しないということ。
本書では、つながりについて、愛着心(engagement)、間柄(relationship)、接続性(connection)、人とのかかわり(network)など多岐にわたるとしたうえで、ユーザーとの関係性と定義している。コネクションが近いが、物理的な接続性以上に、実態として関係性を継続していることが何より重要で、企業がユーザーに寄り添っているかどうかが大切としている。

「つながり」は曖昧な気がするが、本書を読むと、重要なキーワードなのだと思うようになった。英語ではいくつか表現があるようだ。

2025年7月1日火曜日

【書籍】 篠田丈 『「本当のお金持ち」から学ぶ正しいお金の増やし方』 県立 小学館 2021.12

 (所在)県立

・4つのお金 日常使用、事業用、子孫用、社会貢献
子孫用は信託や財団に管理を任せる
金融庁の最低限の金融リテラシー
・家計管理
・生活設計
・金融知識・経済事情の理解と金融商品の適切な選択
長期投資に出口戦略はいらない。ヨーロッパの富裕層はロングオンリーで20-30年は当たり前。
プロのトレーダーは損切りは早く、利食いは遅く
長期投資でも流動性が高いものは必要。株式、債権、投資信託、一部デリバティブ
ヨーロッパの富裕層は株式の投資信託・ETFの割合が多い。

2025年6月13日金曜日

【書籍】 無敵のレポート・論文術 『ゼロから始める無敵のレポート・論文術』 講談社現代新書 2025.3

 (所在)7FS816.5オ

◎本書の目的 卒論の書き方

第1章・第2章 テーマを選ぶ

第3章 資料を集める
・書店に行く 新書とか
・インターネットの活用
・・AIに聞いてみる キーワードを得る
・・ウィキペディア(キーワード検索) 情報ページ、関連する情報ページはすべて印刷する
・・グーグルとヤフー(キーワード検索) urlとプリントアウト。英語でキーワード検索、プリントアウト。30枚が目安。少なすぎる、あるいは多すぎる場合は、卒論レベルとしてふさわしくない。
・・CiNii(キーワード検索) 5-10本程度。論文・記事の著者名、掲載雑誌名、発行年月日、掲載ページなどをメモする
○資料を集める
・これまでで、新書・関連図書 数冊、インターネットで30枚、論文5-10本
→次は、実物を得る(図書館利用、司書に相談)
○資料の読み方
基本図書は自腹で購入する

第4章 紙に書き出す
その時点のネタを1枚の紙に書き出す(p.87 図 ネタ・カードの例 を参照)
○ネタ・カードを作るための心得
・いつから始まったかを問う。
・なぜそれが始まったのか/なぜそういう必然性があったのか を問う。
・・メリット・デメリットは何か
・最後に、それは○○にとってどんな意味があるのか? と問う