2010年11月10日水曜日

【書籍】 ポール・ヴィリリオ 『アクシデント 事故と文明』 青土社 2006.2

現代文明の特徴に事故がある。
実体の発明が事故の発明となる。
原子力発電所の発明がなければ、チェルノブイリ事故もない。大型客船の発明がなければ、タイタニック号の事故もない。

と、著者は言う。
現代文明は効率性を追求することで、密度が大きくなってしまっており、そのことが、事故の被害を拡大している。ただ、飛行機事故がその悲惨さとは裏腹にキロメートル当たりでは最も安全な交通機関でもある。
むろん、原子爆弾の発明前と使用後とでは、世界の見え方が違うと言ってもよいとは思うが、昔に戻れるわけでもない。
事故は全くの偶然で起こるものではない。起こるべくして起こるという認識が重要である。
著者にはそのような認識がないらしいが、致し方あるまい。

■ 書籍情報入手先   ★☆☆☆☆
  『松岡正剛の書棚』 第3巻(3) 中央公論新社 2010.7
■ 所在
  県立

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