2013年4月8日月曜日

【書籍】 山内一也 『ウイルスと地球生命』 岩波科学ライブラリー 2012.4


なかなかエクサイティングな世界。

p.v 2003年ヒトゲノムの成果:人間の遺伝子情報の約半分はウイルス関連(9%人内在性レトロウイルス 34%レトロトランスポゾン 3%DNAトランスポゾン トランスポゾンとは、生物間を自由に移動できる、「動く遺伝子」)
同 霊長類が誕生したとき、レトロトランスポゾンの爆発的増加があった
p.vi 海に含まれるウイルスの炭素の総量はシロナガスクジラ7500万頭分の炭素量に匹敵
p.26-27 ウイルスは核酸(RNA DNA)がカプシドというタンパク質の外殻に包まれているだけで、細胞は存在しない。ウイルスは、生物の細胞内で核酸の複製とタンパク質の合成が行われ、集められてウイルス粒子を形成する。
p.28 ミミウイルス:細菌とウイルスの中間? 細菌に似ている(mimic)
p.30 生物界は真核生物、古細菌、真正細菌の3つに分類。(古細菌:メタン菌、高度好塩細菌、好熱細菌)
p.61,62 レトロウイルスの多くはウイルスDNAは体細胞の核内に入り込むが、生殖細胞(精子と卵子)の核内にハイルウイルスもいる。後者を内在性レトロウイルスといい、宿主のゲノムの一部となって子孫に受け継がれれる。
p.73 北米のウミウシは、光合成遺伝子を持っており、光と二酸化炭素だけで最長9ケ月(ウミウシの寿命に相当)生きていた。ウミウシは孵化すると緑藻を食べ、葉緑体が表皮の下に送られる。この葉緑体と光合成遺伝子(内在性レトロウイルス)で光合成が起きている。この事例は、植物の遺伝子が動物に水平移動していることを示している。
p.82 20世紀終わり頃からウイルスを用いてガン細胞を破壊する試みが盛んになってきた。
p.95 藻類の一部はウイルスの感染により死滅・分解している。ウイルスにより分解されるプランクトンは、炭素量換算で年間1500億トン、そこから700億トンの可溶性有機炭素と500億トンの粒子状有機炭素が海水中に放出。粒子状は紫外線や生物活動により分解されて、可溶性となり、一部は大気中に放出される。
p.93 海洋は約38.5兆トンの炭素の貯蔵能力がある。炭素重量に換算して、900億トンの二酸化炭素が海から放出され、海は930億トンを吸収する。森林破壊(20)か化石燃料の消費(50億トン)が放出されるが、海洋へは差し引き30億トンなので、結局、大気中では、年間40億トンの二酸化炭素が増加している。
p.96 雲凝結核の形成には大気中の硫化メチルが関わっており、海から放出されるのは30%を占める。植物プランクトンがウイルスで死滅すると硫化メチルが発生する。

参考文献
山内一也 『エマージングウイルスの世紀』 1997 県立 9F 市立
川喜田愛郎 『生物と無生物の間』 岩波新書 1956 県立 9F 大学旧
山内一也 異種移植 1999 県立 9F 市立

■ 書籍情報入手先   ★☆☆☆☆
  『今月読む本』 2012.5(その1)
■ 所 在
  県立 市立210.5マ 大学文庫210.5Ma85

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