takaoな日記
2025年10月30日木曜日
【書籍】 上山明博 『仁科芳雄 「原爆を作ろうとした物理学者」がみたもの』 青土社 2025.4
(所在)県立 市立429ウ
p.91-100
日本における原子爆弾製造研究は、理化学研究所の仁科研究室に始まった。昭和16年から陸軍の委託ではじまり、昭和18年に検討結果を報告書として提出した。熱拡散法によるウラン濃縮は失敗だった。昭和19年にはサイクロトロンの建設計画が提出された。
筆者は、「サイクロトロンは、(略) 原子爆弾の製造に直接つながる実験装置ではないことは研究者なら周知の事実である。(略)(仁科研究室の)計画書の記述は、大サイクロトロンの建設に必要な予算と人材を確保するために、仁科が合理的に考えた口実だった可能性がある。」
私も、サイクロトロンの研究は原子爆弾製造と関係がないはずなので、かねてより、なぜと思っていました。筆者は研究の口実としていますが、それならわからないわけでもないが、では、なぜサイクロトロンの建設及び研究を企てたのか?しかも、敗戦が濃厚だった時期に。本書では、世界で2番目のサイクロトロンと書いてありますので、科学者の功名の焦りとも考えられますが、科学者ならすぐばれる話なので、どうもそんな感じがしない。
むしろ、サイクロトロンによって理論物理の研究で日本が最先端に立ちたいという野心ではなかったかと推察します。
実際、物質を構成する粒子の研究には、サイクロトロン(加速器)で粒子を高速(できる限り光の速度に近づける)にして、別の粒子にぶつけて、出てきた粒子を調べることですので、仁科の方向性は決して間違ってはいないと考えます。
また、理化学研究所の位置づけも気になる。
2025年10月25日土曜日
【書籍】 澤千絵 『「ふるさと回帰」という選択 広がる地方移住』 岩波ブックレット 2025.9
(所在)大学1112
著者:公益社団法人ふるさと回帰・移住交流推進機構 青森暮らしサポートセンター移住・交流相談員
筆者は青森に居住したことはないが、大学時代にゼミの活動で青森訪問。
p.39 ふるさと回帰のパターン
・嫁(妻)パターン:妻の出身地に移住すること。青森県の場合、ファミリー層の相談はこのパターンが多い。
・孫パターン:地方出身の親を持つ都会に住む人が、親を都会に残したまま親の故郷に移住すること。青森県はこのパターンの相談が多いのも特徴。
2025年10月22日水曜日
【書籍】 小泉悠 『情報分析力』 祥伝社 2024年10月
(所在) 県立 市立002コ
○断片的な情報の体系化
twitter投稿をシベリア鉄道、戦車、SNSといったキーワードと年月日でタグ付けしておくと、ロシア軍の侵攻状況があるていどわかる。位置情報もタグ付け。
○文献
1.分析対象について母国語の書籍を読む
外務省で言われたのは、ロシアに関する日本語で書かれた本はすべて読め。(日本語で書かれたものは一番速く読めるし頭に入る)
2.情報分析対象を広い構図で捉える
政治・経済・歴史など分析対象の背景を広く理解する
3.分析対象が「今の姿」にどのようにして辿り着いたかを知る
ロシアなら現在から40年前(冷戦終結の少し前)まだ遡る
☆お勧め:論文1本か研究書の1章分を毎日読むことをノルマとする
外務省で言われたのは、ロシアに関する日本語で書かれた本はすべて読め。(日本語で書かれたものは一番速く読めるし頭に入る)
2.情報分析対象を広い構図で捉える
政治・経済・歴史など分析対象の背景を広く理解する
3.分析対象が「今の姿」にどのようにして辿り着いたかを知る
ロシアなら現在から40年前(冷戦終結の少し前)まだ遡る
☆お勧め:論文1本か研究書の1章分を毎日読むことをノルマとする
○コア情報処理装置作りのコツ
1.文献が参照している資料を芋蔓式に読む
2.専門家の論文からデータ解釈の知見を得る
3.体系化する(タグ付けなど)
4.人に聞く(分析方法、オタク的に詳しい分野など)
5.経験値を貯める(足で稼ぐ、定点観測など)
☆コア情報についての先行研究は具体的な情報を得るためでなく、(これは公刊資料を含む生情報として自分で取る)、分析に関する考え方を拝借するために読む
・一般論の後に、具体的な各論を語れるかどうかで情報分析の優劣を分ける。
○情報をまとめる
1.情報をまず図表やグラフにしてみる
2.仮説を立てる(口に出す、文章に書く)
3.ハードウェア おおかな画面のパソコンと大きな追加モニターを机の上におく。(追加モニターには図表全体を置いて、メインのモニターにはワープロを置く。)。書見台を買う
4.文章の「迷宮」から抜け出すコツ
4.1 組み換える(パートの前後を入れ換えるなどして、わかりやすい理論構造を考える)
4.1 時間をおいて見直す
4.3 やり直す 迷宮化した文章からの部分も使いつつ、更地から書き直してみる
5.情報資料としての体裁を整える
・要約をつける。
・キーワードに下線。
・見出しをつけ、それぞれのパートの冒頭だけ読めば各パートの中身が大体わかるようにしておく。
・グラフをつける
・わかりやすい言葉を使う
6.継続的なアウトプットで自分を鍛える
・学会の特集論文とか雑誌の記事は修行だと思って受ける。
・毎週メールマガジンを書く(有料、月曜日)
7.ヘンな専門家を見分ける
8.文学を読む
ソローキン 親衛隊士の日
ドストエフスキー
アニメ エヴァンゲリオン
2.仮説を立てる(口に出す、文章に書く)
3.ハードウェア おおかな画面のパソコンと大きな追加モニターを机の上におく。(追加モニターには図表全体を置いて、メインのモニターにはワープロを置く。)。書見台を買う
4.文章の「迷宮」から抜け出すコツ
4.1 組み換える(パートの前後を入れ換えるなどして、わかりやすい理論構造を考える)
4.1 時間をおいて見直す
4.3 やり直す 迷宮化した文章からの部分も使いつつ、更地から書き直してみる
5.情報資料としての体裁を整える
・要約をつける。
・キーワードに下線。
・見出しをつけ、それぞれのパートの冒頭だけ読めば各パートの中身が大体わかるようにしておく。
・グラフをつける
・わかりやすい言葉を使う
6.継続的なアウトプットで自分を鍛える
・学会の特集論文とか雑誌の記事は修行だと思って受ける。
・毎週メールマガジンを書く(有料、月曜日)
7.ヘンな専門家を見分ける
8.文学を読む
ソローキン 親衛隊士の日
ドストエフスキー
アニメ エヴァンゲリオン
2025年10月2日木曜日
【書籍】 田中輝美『関係人口の時代 「観光以上、定住未満」で地域とつながる』 中公新書 2025.8
筆者は、大学卒業後、ローカル新聞社に入社。その後、大学院博士課程を終了し、現在、島根県立大学准教授。
(関連主著)
関係人口をつくる 2017年 事例中心
関係人口の社会学 2021年 博士論文をもとにした学術書
関係人口の社会学 2021年 博士論文をもとにした学術書
(内容)
p.9 関係人口とは交流人口と定住人口の中間
交流人口:短期的に訪問する
関係人口:継続的に関心を持ち、関与するうよそ者
定住人口:長期的に居住する
ここで、関係人口は、現地を訪問することを意味しないことに留意。
筆者は期間の長短で区分しているようである。
交流人口:短期的に訪問する
関係人口:継続的に関心を持ち、関与するうよそ者
定住人口:長期的に居住する
ここで、関係人口は、現地を訪問することを意味しないことに留意。
筆者は期間の長短で区分しているようである。
p.201 関係人口が人口減少社会の希望になりうると考えている。
関係人口は、地域間で人材を共有(シェア)していると考えることができる。関係人口と地域の協働で課題が解決し、主体も増える好循環が生まれる可能性を繰り返し述べてきた。
(感想・コメント)
この手のはやりものの研究では、継続的研究が望まれる。事例中心主義の問題点は、中長期にわたる定点観測がなされていない場合があるということだ。筆者は多くの事例をあげているが、これらをすべて10年、20年、30年、50年(さらにはそれ以上)にわたって地域がどう変化してきたのか、時代の証言者になる覚悟が必要だと思う。
筆者は島根県出身で島根県在住らしいので、少なくとも島根県の事例については継続して研究されると思うし、場合によっては、主体的に地元への働きかけも行えるので、この先が楽しみではある。
実際、私が本当に読みたいのは、筆者が主体的にかかわった事例とその定点観測である。
同時に、読者たる我々も筆者の定点観測が必要だということだ。(知識を得るために読書するのだが、気になる著者(研究者)の定点観測もいいと思う。これは筆者が本物かどうか見極めたいということでもある。)
2025年7月18日金曜日
【書籍】 スティーヴン・D・キング 『僕たちはまだ、インフレのことを何も知らない』 デフレしか経験していない人のための物価上昇2000年史 ダイヤモンド社 2024.3
(所在) 8FN337.9キ 市立337キ
○インフレとはお金の価値が失われていくこと
○インフレ下での資産防衛
・1つの通貨圏に投資しない
・株式はいつもインフレに強いわけではない
・一定量の金を保有
・現金・預金の利益率はマイナス
・実質利回りがマイナスならば、資金を借り入れて不動産を購入し、設けるチャンスがないかじっくり考えること
・ユーロの中心でインフレ発端の政治的混乱の兆しがあれば、北ヨーロッパの債券市場が高利回りの準通貨へと大化けするだろう。
2025年7月17日木曜日
【書籍】 工藤律子 『働くことの小さな革命 ルポ日本の「社会的連帯経済」』 集英社新書 2025.2
(所在) 県立 7FS335.6ク 市立335ク
p.14 社会的連帯経済(Social and Solidarity Economy)とは、企業間の競争による利潤の追求とそれを基盤とする経済成長よりも、社会的利益のために連帯して、人と(地球)環境を軸にした経済を指す。協同組合やNPO、共済組合、財団、フェアトレード、社会的企業、有機農業、地域通貨のような「補完通貨」の運営などに携わる者が、その担い手だ。
(感想)経済というからには、商品とかサービスのやり取りに重きを置いていると思う。その際に、目的を重要視し、貨幣とか地域通貨を用いてやりとりするということなのだろう。祭りのような連携・つながりはどうなのか?同じ枠組みから見ることは可能なのか。
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