2008年10月31日金曜日

【書籍】 渡辺淳一 『遠き落日』 新潮文庫 1983.9

野口英世の伝記である。アメリカ、メキシコ、アフリカのガーナまで調査し、特に海外での研究状況を踏まえて、書いてある。
貧困の生い立ち、学者人生としては、はなばなしい前半に比べ、後半の研究がうまくいってないさまが書かれている。タイトルの遠き落日はその暗示である。

■ 書籍情報入手先
  大学新入生に薦める101冊の本 岩波書店(2005.8)第33番

■ 所在
  市民図書館 7F文庫 Bワタ1

2008年10月29日水曜日

【書籍】 池内了 『物理学と神』 集英社新書 2002.12

ぱらぱらとめくっただけだが、世界のあり方を神と表している。
おもしろいが、やや寄せ集め的感をまぬがれない。

■ 書誌情報源
  松岡正剛の千夜千冊 第1254夜
  「立花隆選・文庫&新書百冊」第66番 『ぼくらの頭脳の鍛え方』 2009.10

■ 所在
  市民図書館 7F新書 S420.2イ

【書籍】 ヴィクトール・E・フランクル 『夜と霧』新版 みすず書房 2002.10

ユダヤ人心理学者のアウシュビッツでの経験の報告である。
1997年に新版が出たことから、訳者も変えて、新版が出たものである。

思ったより読みやすいが、愛するものすべてを失いつつ、客観的に体験を淡々と記している。改めて、なぜ、あのようなジェノサイドが可能であったのか、そこを改めて問うべきであると思う。

■ 書籍情報入手先
  大学新入生に薦める101冊の本 岩波書店(2005.8) 第29番
  静岡県立大学教員推薦の100冊第117番
  京都文教大学の100冊第19番
  市川学園100冊の本(高校編)第96番
■ 所在
  市民図書館 7F 外国文学 943フ

2008年10月27日月曜日

【書籍】 石川文康 『カント入門』 ちくま新書 1995.5

カントは批判哲学と言われる。それは、人間が誤謬を犯すからである。
従って、自分の感覚、理性、道徳、宗教すら批判的に扱い、誤謬を克服していく必要がある。

と理解した。カール・ポパーの哲学との類似性を感じる。

■ 書籍情報入手先
  哲学のモノサシ 推薦図書

■ 所在
  市民図書館 7F新書 S134.2カ

2008年10月26日日曜日

【書籍】 佐藤雅彦・竹中平蔵 『経済ってそういうことだったのか会議』 日本経済新聞社 2000.4

経済についての対談。最初の方で、経済の語源として、オイコノミコス、共同体のあり方からきているという。税なんかもそうだということを初めて知った。
もっと、経済の基本が知りたい。

■ 所在
  市立図書館

【書籍】 エドワード・O・ウィルソン 『知の挑戦』 角川書店 2002.12

進化生物学を中心とする自然科学から文化などを統合的に説明しようとしている。
自然科学を学んだ者からすると、社会学はよくわからない。経済学はもっとわからない。

そういう点では拍手であるが、なんとなく、説明の枠組みが納得できない気もする。
精神と物質社会を記述する科学を無理に統合する意味はなんなのか。
この点が今ひとつわからない。

p.76「科学の世界のきまりごとの一つなのだが、発見は、査読を無事に通って活字になるまでは存在しないのである。」


(主著)
 社会生物学(新思索社)
 人間の本性について(ちくま学芸文庫)
 Genes,Mind,and, Culture
 生命の未来(仮題)The Future of Life (角川書店予定)
 錬金術師ニュートン みすず書房
(一般向け)
 バイオフィリア-人間の生物の絆 平凡社
 生命の多様性 岩波現代文庫
 ナチュラリスト 法政大学出版
(関連本)
 オルコック 『社会生物学の勝利 批判者たちはどこで誤ったか』 新曜社
 ブラウン 『ダーウィン・ウォーズ』青土社 (断続平衡説のグールドと利己的遺伝子説のドーキンスとの論争)

■ 書籍情報入手先
  大学新入生に薦める101冊の本 岩波書店(2005.8) 第66番

■ 所在
  市民図書館 9F書庫

【書籍】 カール・R・ポパー 『よりよき世界を求めて』 未来社 1995.12

講演集であり、わかりやすい。
カントの純粋理性批判の解説とか、ニュートンの神秘主義への傾向など、はっとすることが書いてある。
解説から
探求の論理 開かれた社会とその敵 推論と反駁 客観的知識 自我と脳
認識論の2大根本問題 探求の論理へのあとがき は日本語でよめない。

長尾、河上編 開かれた社会の哲学 (未来社) 

■ 所在
  市民図書館 8F人文 133.5ホ 

2008年10月22日水曜日

【書籍】 下條信輔 『サブリミナル・マインド』 中公新書 1996.10

簡単に言うと、いわゆる、サブリミナル効果について縷々説明している。
最初の方では、報酬が少ないほど、単純作業を逆に楽しく感じてしまう例が示されている。身につまされる話。
この本で近代的自我として、デカルトの我思う故に我ありが示されて、実際に、選択行動を初め、潜在意識下に影響されていることが示されている。
さらに、大脳だけではなく、脊髄でも記憶や意識があるらしいことも示されている。この点はうなずける。
文章などを集中して書いているときは、背骨から盆の窪にかけて意識があるように感じることが多い。

本当の自分って何が、この本のテーマか。

■ 書籍情報入手先
  大学新入生に薦める101冊の本 岩波書店(2005.8) 第85番

■ 所在
  市民図書館 7F新書 S145.1

【書籍】 『立花隆「嘘八百」の研究』 宝島社(別冊宝島Real No.27) 2002.12

立花隆の批判本の一つ。
批判の要因としては、科学に関わるテーマを執筆しているわりには科学的知識に疑問がつくこと。公安陰謀説など思い込みが根強いこと。などなど。
社会的影響を考えれば、発言のおかしなところをあげつらうのは仕方がないにしても、だれが一体、知の巨人などともてはやしたのか。それこそが問われるべきではないかと思う。


その中でちょっと目を引いたのは、編集部による評論家宮崎哲弥へのインタビュー。「ロッキード裁判を斬る」(朝日文庫)を法学の訓練を受けていないレイマンの理想形と言っている。さらに、彼の2度に渡る東大での研究テーマから、立花隆の思想傾向を近代人にありがちな神秘主義への傾倒としている。

なるほど、どういう文脈で読めるかという知識も必要だろう。

■ 書籍情報入手先
  大学新入生に薦める101冊の本 岩波書店(2005.8) 第84番(脳死、立花隆)関連図書

■ 所在
  市民図書館 8F人文 289.1タ

2008年10月20日月曜日

【書籍】 ジャレド・ダイアモンド 『銃・病原菌・鉄』 草思社 2000.10

人類史1万3000年について、なぜ、文明の発達の地域差があるのか、なぜ、どのようにして、ヨーロッパ文明が世界を制覇するにいたったのかについて、文明論的考察を行っている。
ただ、長い割には退屈な本。

■ 書籍情報入手先
  大学新入生に薦める101冊の本 岩波書店(2005.8) 第60番
  北海道教職員による新入生への推薦図書(2008.春)第75番
  10年後あなたの本棚に残るビジネス書100 神田昌典+勝間和代 10年後あなたの本棚に残る40冊 勝間推薦本

■ 所在
   県立 8F人文204タ 市立204ダ 大学204D71

【書籍】 苅谷剛彦 『大衆教育社会のゆくえ』 中公新書 1995.6

戦後教育における学歴エリート主義について、子弟の学歴の差が結局は親の経済力、社会的地位によるものだとする実証的分析。

また、教育の不平等について根本原因を解消しないままに、教育の平等と言われている現状に触れている。

■ 書籍情報入手先
  知的複眼思考法 推薦図書 10/10

■ 所在
  市民図書館 7F新書 S372.1カ

2008年10月18日土曜日

【書籍】 ガブリエル・ウォーカー 『スノーボール・アース』 早川書房 2004.2

縞々学の川上伸一氏が監修である。
原著は Gabriellle Walker SNOWBALL EARTH 2003
先カンブリア紀の地球は何度か氷の覆われていたという説。
スノーボール・アース説は、以前もちらりと聞いていたが、
本書を読むと、かなり、いろんなデータによる検証が行われている。

単なるお話かと思っていたら、かなり有力な説になっているようだ。

■ 書籍情報入手先
  大学新入生に薦める101冊の本 岩波書店(2005.8) 第96番

■ 所在
  県立 9F 市立

2008年10月16日木曜日

【書籍】 枝廣淳子、内藤耕 『入門!システム思考』 講談社現代新書 2007.6

システム思考と言っても、従来、よく言われているシステム思考とは、ちょっと違うようである。
ピーター・センゲの唱えるビジネスにおけるシステム理解の紹介であるらしい。

システムの類型説明があるが、どうも、厳密な感じがしない。???が残る。
原典を読んでみる必要があろう。

それとも、理解、概念をシステムという図で表し、直感的に理解、代替策を考えるためのツールと考えた方がいいのであろう。

■ 所在
  市民図書館 7F新書

2008年10月15日水曜日

【書籍】 西研 『哲学のモノサシ』 NHKブックス 1996.5

若い人向けに書かれた哲学についての書物。
宗教、科学との違いについても触れている。
科学は「いかに」には答えるが「なぜ」には答えないという。
よくわかる。万有引力の法則を見ても、なぜ、遠隔で力が働くかは答えない、遠隔でどのような力が働いているかを答える。
宇宙の始まりのような問いを究極の問いといい、仏陀は無駄とした。カントは回答不能な問いとしたようだ。
始まるがあるしても、ないにしても、疑問はつきることがない。やはり、問い立てが正しくないのかもしれない。

ただ、この本では、神話について深く触れていないのが残念。
また、ぼくが認識するから世界がある、といった思想を紹介しているが、あまり好きではない。
「地球にやさしい」という標語と同じうさんくささを感じてしまう。

あなたやぼくがいなくても、世界はあったし、これからもあるのだ。

と思うのである。

■ 書籍情報入手先
  知的複眼思考法 推薦図書 2/10

■ 所在
  市民図書館 8F人文104ニ

【書籍】 創造の方法学 高根正昭 講談社現代新書 1979.9

社会学・社会科学の方法論について紹介した本である。
かねて、行政は社会科学をベースすべきであると思っており、
行政マンにはぜひ読んでほしい。
そして、そのセンスは行政に応用するのみならず、
行政マンこそは、健全な社会批評を行うべきである。

■ 書籍情報入手先
  知的複眼思考法 推薦図書 9/10
  社会学をつかむ 有斐閣 2008.7 unit3 社会学 推薦図書

■ 所在
  市民図書館 7F新書 S301.6タ

2008年10月12日日曜日

【書籍】 『知的複眼思考法』 苅谷剛彦 講談社、1996.9

大学の学生の授業をもとにかかれている。

筆者は、「常識」とされるフレーズ、キーワードが出てくれば、なんとなくわかったように気になる状況を思考停止と呼んでいる。
痛いな。
factは何か。思いこみは何か。著者はどっかにリードしようとしていないか。
いろんな立場で考えられないか。なぜ、なぜを繰り返す。
なぜそれが問題なのか。そもそもその問題を設定している理由・背景は(だれが得をし、損をしているのか)

こうした意識は新聞などの記事を読むとき注意しなければいけない事柄である。
新聞記事が事実と思いこむ人々は多い。学校で批判的に読む、批判的に考える訓練がなされていないからだと思われる。

学生向けの本だが、おとなでも、もう一度意識してみた方がいい。(自分の仕事や得意分野以外では新聞ネタをそのまま受け止めてはいないか。)

□ 本書の推薦図書
  1.西研 『ヘーゲル・大人のなりかた』 NHKブックス 1995.1
  2.西研 『哲学のモノサシ』 NHKブックス 1996.5
  3.折原浩 『デュルケームとウェーバー』(上・下) 三一書房 1981.12
  4.増田四郎 『大学でいかに学ぶか』 講談社新書 1966.5
  5.浅羽道明 『大学で何を学ぶか』 幻冬舎 1996.4
  7.ロラン・バルト 『神話作用』 現代思潮社 1967.7
  6.『パパラギ-はじめて文明を見た南海の酋長ツアイビの演説集』 立風書房 1981.4
  9.創造の方法学 高根正昭 講談社現代新書 1979.9
  10.苅谷剛彦 『大衆教育社会のゆくえ』 中公新書 1995.6

■ 書籍情報入手先
  大学新入生に薦める101冊の本 岩波書店(2005.3) 52番
  静岡県立大学教員推薦の100冊第8番
■ 所在
  市民図書館 8F人文141.5カ
       

【書籍】 『漱石と寅彦』 志村史夫 牧野出版、2008.9

残念ながら、通読あたわず。半分で限界。

どこかで聞いたことがあるだけに、途中で飽きてしまう。
(寅彦全集を読んでいるからと思うが)

寅彦は、熊本高校時代に、英語の夏目先生、物理の田丸先生に影響を受けている。
僕の場合、残念ながら、中学、高校では影響を受けた先生はいなかったな。
その代わり、よく、図書室、図書館に通っていた。それなりにいい本は置いてある。
大学時代も独学に近い。

■ 所在
  市立図書館

2008年10月9日木曜日

【酒肴】 ジャーナリズム

昨日、知り合いとの酒の席でのはなし。(特に、地元新聞について)

(かれ)イズムがつくのだから、新聞記事は署名記事にほしい。

(ぼく)でも、記者なんて、会社のヒエラルキーからみると、よくわからない位置。よく、見出しが少しミスリーディングではないかというと、デスクがつけたんです、との返事が多い。
    
(かれ)ジャーナリストであれば、もっと、自分の哲学をもってほしいな。

(ぼく)記事に責任を持つという意味では、どっかの記者がブログで書いているというのは評価してもいいかも。(実は、そのブログは読んだことがないので、適当に言っているだけだが)

(かれ)企業のメディア戦略が変化している。新聞、テレビから別のメディア(インターネット関係か?)にシフトしている。

(ぼく)消費者の選択行動に影響を与えるメディアが変化しているのだから、当然だろう。

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(本日の感想)
我々もそういう意味では、メディア戦略をしっかり考えないと、世の中に取り残されてしまうかもしれないな。

2008年10月1日水曜日

【書籍】 高安秀樹 『経済物理学の発見』 光文社新書、2004年9月。

経済物理学(エコノフィジックス)の研究者による解説である。
経済物理学は数理解析を社会現象、特に経済現象の分析に応用したもの。
キーワードは物理学や数理解析の分野で使用されているものである。

ただ、あくまでも、現象の解析を通じたメカニズムの解明である。なんとなく、物足りない気もするが、考えてみれば、万有引力だって、真の原因は問われればわからない。

メカニズムがどの程度の範囲で成立するのか、つまり、説明可能性が重要なのであろう。

■ 所在
  市民図書館 7F新書S331.1タ