昨日、電車の時間まで、ちょっと、駅前の焼き鳥屋に寄った。
だれかが肩をつついている。ふと見ると、マスターが、
「昨日、Tさんが亡くなったの、知っている?」と聴いてくる。
Tさんは自由人であった。昔は、ギターか何かのミュージシャンで、今はどうやら、ネットで、輸入楽器の販売をしているようだった。
僕らは因果な商売で、下手をすると、高校の同級生からも飲み屋で絡まれるので、基本的には身分を明かさないのだが、
Tさんは、「皆さんの仕事のおかげで、こうして生活できている」と、のたまう、不思議な人だった。
寂しがりやだったのかも知れないな。
その焼き鳥屋には、ここ数回行ったが、Tさんの不在が妙に印象づけられていた。
いることと、いないこと、そのコントラストの間に、死を悼む気持ちがあるのだろう。