平成24年12月になって、北朝鮮がまたテポドンを発射したことから、ちょっと北朝鮮関連を読書。
p.18 旧社会党や社民党の政治家は、北朝鮮を何度も訪れながら、北朝鮮の指導者に拉致日本人の救出を訴えさえしなかった。
p.19 「拉致はない」との論陣を張ったのは、W東大名誉教授であり、「世界」が後押し。「世界」に掲載された「韓国からの通信」は故安江良介編集長が執筆していたというのが、朝鮮問題の専門家の判断。
p.22 北朝鮮は「南朝鮮統一」を最大の目標にしており、「南朝鮮革命と統一」のため、日本人を拉致。
p.25 大韓民国は、上海にあった「大韓民国臨時政府」を引き継いでいるとの正統性を主張。朝鮮民主主義人民共和国は日本が植民地にした「朝鮮」国の主権を引き受けた国家であるとして、正統性を主張。
p.32-33
朝鮮半島の政治と社会についての代表的な理論:アメリカのグレゴリー・ヘンダーソン博士の「渦巻き理論」。中央へ中央へと向かう社会構造。
著者の北朝鮮を理解する理論
1.儒教社会主義論:金日成主席、金正日総書記を国家の父親とする「主体思想」を徹底。
2.振り子外交論:中ソ間はもとより日米韓三国の間を振り子のように揺れ動く外交で、お互いを分断し競わせるという戦術。
3.工作国家論:「南朝鮮革命」による朝鮮半島の統一戦略を支え実行したのは、工作機関。日本人拉致も工作機関が実行。
4.軍事国家論:1998年の憲法改正で、「国防委員会」が全権を握り、党に対する軍の優位が明らかになった。
5.南北対話のセオリー:米中関係が変化したり、国際政治が激変し困難な立場に追い込まれると、南北対話に応じる。
6.みなしの理論:交渉で譲歩せざるをえないときは、「相手が北朝鮮の提案をうけいれた」と「みなし」で合意を表明する。
p.44-45
日本人を拉致した目的について、金正日総書記は、小泉首相に対し、工作員として使ったり、工作員への日本語の教育や日本人化訓練のためであったと説明。日本のパスポートを取得することも目的のひとつと思われる。
p.51-52
社会主義国との関係改善を図る韓国の外交活動を阻止する目的で、1983年のラングーン爆弾テロ事件、1987年に大韓航空機爆破というテロを実行。
p.68
金正日総書記は、党の腐敗と官僚主義を批判。軍が党を指導する体制としての先軍政治へ移行した。先軍政治は、「革命と建設に伴うすべての問題を解決する」とされている。
p.148-149
社会政治的生命体論は、主体思想の中心的な理論。人間の存在を首領を中心として党と血縁的な連係を結び、首領と生死や運命を共にする親子・家族関係としている。
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書籍情報入手先 ★☆☆☆☆
『テーマ別:北朝鮮』 新書マップ・読書ガイド 第1番
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所 在
県立 7FS302.2シ 市立302シ