2013年1月22日火曜日

【書籍】 小林英夫 『満州と自民党』 新潮新書 2005.11


戦前と戦後の連続性を読み解く本。岸信介を中心とする満州人脈。
満州国での経済政策は、重要産業は国家統制するもので、社会主義の国家統制を研究して生まれたもの。戦後、その舞台が日本となり、これが日本の経済成長を支えた。進めてきたのが、満鉄を中心とする満州人脈である。

p.36- 満鉄にいた宮崎正義がソ連の計画経済を研究して、日本独自の統制経済の道を模索した。
p.56 宮崎は、日本では、官僚指導の下、国防的重工業などは国家統制の下におき、その他は自由競争にすべきであるとし、このアイデアは岸信介産業部次長のを頂点とする満州人脈の手で具現化された。
p.41 岸が満州国で手がけたのは、産業開発のため、日産コンツェルンを移駐させたこと。
p.61 満鉄では、オイルシェール事業や石炭液化に着手した。
p.106 戦後の経済安定本部には満鉄出身者が多かったのは事実のようだ。
p.97- 傾斜生産方式は、大来佐武郎が原案を描き、有沢広巳が具体化したといわれている。有沢は、ドイツ・ワイマール共和国経済の研究者であり、労農派マルクス主義者であった。
p.123- 岸は、大学生の時に大川周明の「大アジア主義」と北一輝の国家社会主義論、『国家改造案原理大綱』に深く共鳴したという。「私は国体とか天皇制の維持は考えるけれども、私有財産制を現在のまま認めなければならないとは思っていなかった。」

■ 書籍情報入手先   ★☆☆☆☆
  「満州」
■ 所在
  7FS312.1コ

0 件のコメント: