2013年2月12日火曜日

【書籍】 アントニオ・ネグリ マイケル・ハート 『コモンウェルス <帝国>を超える革命論』(上・下) NHK出版 2012.12



原著は COMMONWEALTH by Michael Hardt & Antonio Negri 2009
本書は、<帝国>、マルチチュードと、<帝国>三部作の完結編にあたるという。

<解説>(水嶋一憲)によると、
<帝国>とは、冷戦終結後のグローバル化の過程で形成されつつある新たな権力形態のこと(支配的な国民国家、IMF・世界銀行、NGO、メディア・コングロマリットなど)で、<帝国>的権力に抗してグローバル民主主義の構成へと向かう多数多様な集団的主体をマルチチュードと名付けた(スピノザの政治概念を受け継ぎつつ)。
21世紀には、アメリカ帝国主義が軍事的にも経済的にも失敗に終わり、<共>にもとづく民主主義の構成が志向されている。

本からパラパラと、
資本主義は<私>、社会主義は<公>、共産主義は<共>。 私有財産が資本主義を特徴付ける。
近代性を超えるには反近代性ではなく、オルト近代性(オルタナティブ近代)性という対応が必要。
そのためには、知識人が批判から新たな未来を提案する。 従来、経済学では、<共>(コモン)を外部性として扱ってきた。 <共>は<私>や<公>とは別の平面にあり、その2つから自律している。

オープンな情報や文化の基礎設備を構築することが必要。しかし、特許や著作権が生み出す利潤がなくなるのであれば、研究を継続するには、民間機関か公的制度によって財源を確保することが必要。
資本主義からの移行(革命)によって、コモンウェルスが蓄えられる。

☆<革命>というとドッキリするが、本書が提示する概念は古くからあるし、現にインターネットなどの技術の進展によりそのような形態が出現しつつあると思う。その一方で、資本主義的<私有制度>が前より一層きつくなっている場面も見られる。となると、著者が提示したいことは、こうした潮流を政治的観点から、「意識したまえ、意識して行動し給え」ということなのではないかと思う。そこが「革命」という言葉を用いる所以であろう。
ただ、それにしても、もっと、わかりやすく書けないものかの~。

■ 書籍情報入手先   ★☆☆☆☆
  『新聞書評(2013.1-)』 2012/2/24 朝日
■ 所 在
  市立311ネ1,2 大学311.1N62.1,2


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