2013年3月26日火曜日

【書籍】 浅見雅一 安廷苑 『韓国とキリスト教』 中公新書 2012.7


最近、韓国を訪問した方に聞くと、ソウルでいたるところに十字架(教会)があるのが目についたという。それで本書を。
副題:いかにして”国家的宗教”になりえたか

p.7 2005年の韓国統計庁の調査結果によると、韓国では仏教が22.8%、キリスト教が29.2%(プロテスタント18.3%、カトリック10.9%)。ソウルでは、仏教徒16.8%、キリスト教36.9%(プロテスタント22.8%、カトリック14.1%)
p.45 バチカンは、韓国のキリスト教が18世紀後半の韓国人による自主的摂取に始まっているとみなしている。
p.116 70年代から、韓国社会は都市集中型の形態で産業化していき、とりわけ首都ソウルの教会は農村から移住した人々を受け入れたて急成長していった。
p.118 建国直後当時、高官の大半がキリスト教を背景に持っていた。1950年代の韓国ではキリスト教(プロテスタント)が事実上「国家宗教」の役割を果たしたと指摘されている。
p.134 韓国社会にキリスト教が深く浸透した要因としては、以下のようなものがあると考えられている。
・韓国の原信仰が一神教的要素を持っていたので、キリスト教を受容する下地となった。(柳「韓国のキリスト教」など)
・朝鮮王朝の朱子学の理気二元論には、キリスト教の世界観に類似する点があった。(小倉「心で知る、韓国」)
・儒教の倫理を重視する姿勢が、キリスト教の倫理への接近を容易にした。
・植民地時代にキリスト教が抗日独立運動の精神的支柱となっていた。このことが、知識人階級に受け入れられた。
p.154 韓国教会は、イスラエルの民が神から選ばれたとする「選民思想」を韓国人に当てはめた。
☆ 確かに、「恨」の思想は、どのように民族の運命を受け入れるかという、選民思想に通じるものがあるな。

■ 所在   ★☆☆☆☆
  県立 7FS192.2ア 市立192ア 大学文庫080.C64.2173

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