2017年5月4日木曜日

【書籍】 松林薫 『新聞の正しい読み方』 NTT出版 2016.3


副題:情報のプロはこう読んでいる!

☆元新聞記者がポイントを語る。目からうろこ本。
■ 所 在   ☆☆☆☆☆
  県立 8F070.4マ 市立070マ 大学070.4Ma72s

1.新聞の構成を知る
p.14-16 版
・全国紙は11-14版。総合版は朝刊に前日の夕刊の情報を入れたもの。印刷工場から離れた地域は早版となる。
・14版が最終版で特ダネはここに入る(他紙に抜かれないように)。電子版は最終版。
→手元の新聞では、地元紙以外は13版だった。
p.21 見出しの段数
・タテ見出しは5段が最高なので、その段数でランク(☆の数)が決まる。ヨコ見出しがつくと、タテ見出しの段数+1の重要度。
・ヨコ見出し:大ニュース
・黒地に白抜きのヨコ見出しは、年に数回の大ニュース
・ヨコ見出しの太さが1段以上:特大ニュース
→東奥日報と河北(2017.5.2)「海上自衛隊が初の米艦防護」の見出しがタテ4段で黒地に白抜き
→14版の記事をいつ我々が目にするのか?

2.記事の中身を読む
p.37 ベタ:見出しが1段の記事
p.40 調査報道:記者が独自に発掘したニュース
p.43- リード文
・~の方向で検討に入った:かなり流動的な要素が残っている
・方針を固めた:検討がもう少し進んだ段階
・最終調整している:細かい点が煮詰まってきた
・発表
p.47 追いかけ記事
・~であることが○日、わかった
・例外)捜査関係者への取材でわかった、○○新聞の調査でわかった:独自記事の可能性が高い
p.50 主語
・政府首脳:7~8割以上の確率で、官房長官。1~3割程度は首相。これはオフレコを意味している。
・政府高官:高い確率で官房副長官
・首相周辺:首相の秘書官などを指すケースが多いようだ
・幹部:中央官庁では、「課長以上」。企業では、取締役などの役員。「首脳」は社長などの代表権を持つ人。
・関係者、~筋:事情通であるが、決定権がない場合が大半
p.56 事実と推測の区別
・事実:断定している場合、記者は相当な自信を持って書いている。
・伝聞:「~によると」。情報の真偽について確信を持ちきれない。
・推測:「~とみられる」「~の可能性が高い」
p.60 記事での主張
・事実の選択:反対の調査結果。だれかの反対表明
・推測表現:「~しそうだ」。これがリード文に使われている場合、事実の選択がか頼っていないか本文を注意して読む必要がある。
p.63 削り(空白)がある記事は情報の価値は高いが、細かい事実関係は間違いが含まれている可能性が高い
→東奥日報2017.5.2(共同配信記事)
トップ記事:(初の米艦防護実施)
・リード文:加速する一体化への懸念もある。→主張・意見?
・本文:燃料補給する可能性がある。→推測。
3面
・リード文:作戦行動への一体化は避けられそうにない。→推測?主張?

3.新聞ができるまで
・デスク:原稿の書き直し、修正
・整理部:記事の大きさ、見出しの作成
・新聞社の組織:記者、キャップ、デスク、部長、編集局長、役員、社長

4.新聞記者を理解する
・ニュースの収集、加工、価値判断
・記者の評価:特オチしない。
・毎日は記者の数が少なく、抜かれてもやむをえないが抜くときは新聞協会賞級の大ネタを抜くという雰囲気。5.情報を立体的に読む解く
・埋め原稿を出す必要がある。:「このほどわかった」「○日までにわかった」
・当事者の反応(1):「当社が発表したものではない」「現時点で決定したものではない。公表できる段階で速やかに発表する」:事実上認めたもの。記者会見で「報道については承知していますが、まだ決定していません」
・当事者の反応(2):「報道されたような○○は一切ない。訂正の申し入れをしており、法的措置も含め検討する」。記者会見で「事実無根で、遺憾に思います」
・取材相手の反応を分析してノートに書く。:聞いたときの相手の反応と表情を記録する。
(クライマーズ・ハイ 横山 読みどころは事故原因のスクープ競争)

6.ニュースを「流れ」で理解する
・政治面:予算のスケジュール。(7月~8月末概算要求、査定、決定(12/24閣議決定)、1月国会提出(通常国会開始)、予算委員会(テーマがなんでもあり、首相の出席率が高い)、3月末可決。延長しても7月中には通常国会終了。9~10月から年末に臨時国会。
・経済面:GDP、景気のサイクル
・国際面:記者の署名と発信地に注目。発信地は記者が記事を書いている場所を示す。新聞社のニュースサイトで、記者の名前で検索し、なるべく現地に長くいる記者、現地を直接取材している記者の論評を選んで読む
・社会面:「強く打って」:死亡か(意識不明の)重体。「間違いありません」:容疑者から自白を得た

7.情報リテラシーを鍛える
・過去・現在・未来の視点を持つ:縮刷版で同じ日の同じ新聞の紙面で10年刻みで遡ってよむ。50年前まで。自分の記憶の歪みを正す。
・自分の感情をコントロールする:松本サリン事件。
・社説が報道姿勢に影響し、縛られる
・社説や政策記事を比較する;自分の意見に近い新聞の社説をもう一方の新聞が指摘する「事実や論理」に基づき徹底的に否定してみる。
(スクラップ:B5ノートにとりあえず。シリーズ:私の履歴書、経済教室。テーマ型)

(読書案内)
池上彰の新聞勉強術 あ7FBし、池上彰の新聞活用術 あしだ
新聞記事が「わかる」技術 北村 けあし
新聞の読み方上達法 熊田 し
クライマーズ・ハイ、64 横山
×報道記者のための取材基礎ハンドブック 朝日
CIA諜報員が駆使するテクニックはビジネスに応用できる あ
小宮一慶の1分で読む!「日経新聞」最大活用術2016年版 けあ
経済学者に聞いたら、ニュースの本当のところが見えてきた あし
最近新聞紙学 杉村 100年前の出版 け'38 し'70

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