著者は、長崎医大の物理療法科に勤務していた医師だが、原爆に被災し、6年後に2人の子供を残してなくなった。病床において数々の著作を書いている。
タイトルのとおり、父子家庭において、死を覚悟した永井博士がその無念さ、子供への想いを綴ったものである。なお、キリスト教徒でもあった。
筆者は、原子力について、こう語っている。
「原子爆弾は人類に、全く新しい資源の在ることを教えてくれた。ここに大きな情義がある。石油は乏しくなる。石炭の底は見えてきた。動力源がなくなると共に人類の文明も終わるのではあるまいか?(中略)この原子の内に神は天地創造以来こんなすばらしい力を隠していたのだ。しかもそれを探し出し、取り出し、利用する知恵も人類に与えてあったのだ。知恵さえ働かせたなら、まだまだ他にもたくさんの動力や物資を探し出すことができるに違いない。
(中略)
人間が本能しか持たぬ動物と同じく、天然の資源を使い荒らしていた怠慢時代は過ぎたよ。あのピカドン一発で人類は居眠りを覚まされた。これから人類がその与えられた知恵と自由意思とを正しく用いて、隠された資源を次々探し出す時代になったのだ。知恵が勝ち、腕力が正当な地位まで後退する時がきている。人間が人間らしい生活のできるいい時代だ。」
また、「人類を物質的貧困から救い上げるのは科学者のつとめだ。」とも語っている。
■ 書籍情報入手先
市川学園100冊の本(中学校編) 第32番
■ 所在
市民図書館 7FBナカ
市立図書館 書庫
■ 中学高校等・分野別推薦図書
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